マーケットのトレンドに投資する ~ETF×信用取引の活用法~(第7回)

下落リスクをヘッジした投資手法~ETF×ETFのロング・ショート【ETF×信用取引⑦】

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ロング・ショート取引とは

今回のテーマは『ETF×ETFのロング・ショート取引』です。
ロング・ショート取引は、「買い(ロング)と売り(ショート)を組み合わせて収益を狙う取引」です。具体的な投資手法については、本連載の第3回『株式相場の影響をヘッジした投資手法~個別銘柄×ETFのロング・ショート』をご参照ください。
第3回では「個別銘柄とETF」の組み合わせを解説しましたが、今回は「ETFとETF」の組み合わせについて考えます。

2019年上半期のETF騰落率ランキング

ETFの組み合わせを検討するにあたり、まずは今年上半期のパフォーマンスを見てみましょう。
下の表は、NEXT FUNDSシリーズを騰落率順に並べたものです。

●2019年上半期 NEXT FUNDSシリーズの騰落率ランキング
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(出所)筆者作成

※野村アセットマネジメントのETF59銘柄のうち、今年上場の2銘柄を除く57銘柄 ※1月4日終値と6月28日終値から騰落率を算出。数値に下線のある株価は直近約定日の終値を使用 ※上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。また、特定銘柄の売買などの推奨、価格などの上昇や下落を示唆するものではありません。また、ファンドの運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。

騰落率を見ると、上昇47銘柄、下落10銘柄(インバースETF が4銘柄含まれるため、実質6銘柄)となり、大半のETFが好調なパフォーマンスという結果になりました。米中貿易摩擦の影響による世界同時株安が昨年末にピークを迎えたため、年初からの推移を見ると好調ということも頷けます。

大半のETFが上昇したため、1銘柄のみの保有でも収益を得られる状況でしたが、今回は「ETFロング×ETFショート」の組み合わせ方についてご提案いたします。

ロング・ショート取引例の紹介:米国株ETF×日本株ETF

今回ご提案する組み合わせは「米国株ETFと日本株ETFのロング・ショート」です。

下のグラフは、NYダウに連動するNYダウ30種ETF(1546)TOPIX上場投信(1306)日経225上場投信(1321)の株価推移をまとめたものです。

●株価推移【2019年1月初~6月末】 ※2019年1月4日の株価を100として指数化
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(出所)筆者作成

※上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。また、特定銘柄の売買などの推奨、価格などの上昇や下落を示唆するものではありません。また、ファンドの運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。

パフォーマンスを比較すると、3指数とも揃って上昇し、6月末の終値ではNYダウ30種ETF(+17.3%)TOPIX上場投信(+7.0%)日経225上場投信(+9.8%)を大きく上回る結果となりました。

米国株相場(NYダウ)を見ると、調整期間を挟みつつ好調な企業決算を背景に緩やかに上昇し続けている状況が株価推移からうかがえます。一方、日本株相場(TOPIX・日経平均)は2018年をピークに横ばいで推移しており、米国株相場と比較すると些か伸び悩んだ状態が続いています。

このように、日本株と米国株を比較して、米国株が堅調に推移し、仮に当該戦略をとった後もその見通しに違いがない場合は、
NYダウ30種ETFのロング×日本株(TOPIX上場投信日経225上場投信)のショート(グラフの⇔が収益)」

という組み合わせが有効です。(日本株ETFのショートはインバース型ETFでも代替可能です。)

実際のパフォーマンスを見てみましょう。2019年の年初から6月末まで、①NYダウ30種ETF 1銘柄のみ保有、②NYダウ30種ETFのロング×TOPIX上場投信のショート、③NYダウ30種ETFのロング×日経225上場投信のショートを比較した場合、NYダウ30種ETF 1銘柄のみ保有した方がパフォーマンスが良かったことが分かります。

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このように、ロング・ショート取引は「上昇相場でロング銘柄・ショート銘柄ともにプラスだった場合、パフォーマンスが低下する」というデメリットがあります。

一方、下落相場ではどうでしょうか。下のグラフは、2018年のNYダウ30種ETF(1546)TOPIX上場投信(1306)日経225上場投信(1321)の株価推移をまとめたものです。

●株価推移【2018年1月初~12月末】 ※2018年1月4日の株価を100として指数化
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(出所)筆者作成

※上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。また、特定銘柄の売買などの推奨、価格などの上昇や下落を示唆するものではありません。また、ファンドの運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。

2018年は株価変動が激しく、特に米中貿易摩擦が激化した10月以降は世界同時株安となったことは記憶に新しいところです。

ロング・ショート取引は、このような下落相場の際に効果を発揮します。2018年の年間パフォーマンスは下表のようになり、株式相場全体がマイナスの年でも、プラスのパフォーマンスを維持することができました。

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株式相場全体が下落した際も、「米国株>日本株」が維持されればプラスとなります。このように、「下落時の損失リスクをヘッジしつつ、プラスのパフォーマンスを狙う」場合には有効な投資手法といえるのではないでしょうか。

まとめ

ロング・ショート取引のメリット・デメリットを端的に言うと以下となります。

メリット :下落リスクをヘッジしつつ、プラスのパフォーマンスを狙うことが可能
デメリット:ロング銘柄・ショート銘柄がともに上昇した場合、パフォーマンスが低下

今回は米国株と日本株のパフォーマンスに注目してロング・ショート取引を解説しましたが、その他にも「低金利が続いていて、銀行株のパフォーマンスが弱い」⇒「TOPIX上場投信のロング×銀行株ETFのショート」等、様々な組み合わせが考えられます。

インバース型ETFが上場していない銘柄でも、信用売りを利用することでショートポジションを保有できます。世界景気が不透明な中、今後の下落に備えてロング・ショート取引を活用することで、皆様の投資の幅が広がれば幸いです。

(2019年8月作成)

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